見出し画像

ライフサイエンス業界のためのコールセンター向け対話型AIソリューション


こんにちは。カンバセーション・ヘルスの古田です!

前回の「対話型AIエージェントの会話精度の高さの秘密はタクソノミー?」
の記事でコロナワクチンの問い合わせに対応できるチャットボットがウェブサイトやコールセンターなどで活用されているとお伝えしました。今回はコールセンターと対話型AIソリューションについてもう少し詳しく解説できればと思っています。

*対話型AIエージェントの精度やタクソノミーに関して知りたい方は以前の記事「対話型AIエージェントの会話精度の高さの秘密はタクソノミー?」をご参考ください。

製薬業界においてのコールセンターの課題

画像5

コールセンターは現在業界を問わず存在し企業とお客様の窓口となっているサービスです。従来ですと、朝9時から夕方17時、もしくは夜になっても問い合わせ対応をされている企業もありました。現在は新型コロナ対策のため、出社する社員数の抑制などの理由で、コールセンターの営業時間が短縮されたり、営業時間内でも電話がつながりにくいなど、様々な影響が出てきており、お客様と企業とのコミュニケーションが限定的になっています。

コールセンターは、製薬業界では特に、医療従事者や患者様に医療情報や医薬品の安全性に関するサービスを提供するために、重要なコミュニケーションチャネルです。他業種の多くのコールセンターと同様、製薬業界の問い合わせ窓口でも、音声自動応答システム(IVR)を採用しています。

音声自動応答システムはコールセンターが効率的に機能する様に工夫されており、まず音声メニューより、問い合わせ内容の種類をお客様自身で回答していただいてから、担当オペレータに繋ぐ構造となっています。

一方、お客様にとっては電話口で複雑な音声メニューを提示され、問い合わせの内容に近いと考えられるメニュー番号を入力する作業を繰り返してようやくオペーレータと会話ができるという、ユーザビリティが高いとは言いにくいシステムです。

画像1

製薬・ライフサイエンス企業の電話で問い合わせるお客様にはご高齢の方、患者様も多くいらっしゃるため、お問い合わせに素早く適確に対応し、電話口でのお客様の負担をできるだけ減らすということは、とても重要ではないかと考えています。

対話型AIを活用しコールセンターの課題を解決

コールセンターのシステムであるIVRに、追加で対話型AIの機能を搭載すると、従来の様に音声メニューを使うのではなく、お客様自身の言葉で、対話型AIエージェントにご相談していただけます。弊社の対話型AIは一般の患者様からの問い合わせだけでなく、医療従事者の専門的な質問も、意図を正確に理解し、質問を予測しながら個々に最適な回答を提供することができます。

従来のコールセンターの例(自分が知りたいことと、音声案内される内容が一致しない)

画像2

画像3

上記の例の様に、自然言語理解(NLU)を活用し音声メニューを会話として成立させることができます。またデータを活用し、お客様のお問い合わせ理由を事前に予測し、回答を準備することも可能ですので、まるで人間と会話をしている様なユーザエクスペリエンスを提供することができます。

対話型AIを活用したコールセンターを利用するお客様への主なメリット

対話型AIを搭載したコールセンターにお客様が問い合わせをした場合、既存のコールセンターでよく見受けられた様々な課題が解消されて、短時間で正確な回答が得られる様になります。

1. 音声メニューの削減
2. お問い合わせ内容の的確なトリアージ(優先順位付け)
3. 24時間の問い合わせ対応
4. 待ち時間の大幅な短縮
5. 英語など多言語対応

といった既存のコールセンターの課題を解決が解決されることで、ユーザエクスペリエンスを向上させることができます。患者様、医療従事者の方を長時間電話口でお待たせすることがなく、24時間いつでもお問い合わせに対応できる大きなメリットを持ったソリューションです。

製薬会社が、対話型AIを搭載したIVR導入するメリット

また対話型AIをコールセンターIVRシステムに搭載することで、製薬企業様も以下の様なメリットがあります。

1. 低コストで24時間対応を実現
対話型AIは24時間体制で医療や製品に関する問い合わせに対応し、必要に応じて既存のコールセンタースタッフに引き継ぎを行います。ですので、人員の追加を行うことなく稼働率を向上させることができます。

2. 人間のような会話の実現
対話型AIを搭載したコールセンターでは、AIの機械学習を利用し、対話の経験を積むことで学習を加速し、問い合わせの予測や回答精度の向上など継続的かつ自動で行います。

3. 問い合わせのトリアージと効率化
対話型AIは、医学的な質問以外にも、一般的な問い合わせに答えることができます。人間が答えるべき質問のみがコールセンターの専門スタッフに引き継がれるため、複雑な問い合わせに答えるための時間やリソースを十分に確保することができ、効率化につながります。

4. リアルワールドデータの自動蓄積
お客様の問い合わせは、現在日誌やエクセルシートなど手入力で記録されていますが、対話型AIを通しリアルワールドデータを自動蓄積することで、お客様のニーズや、新たな市場参入の検討など、イノベーションにつながる豊富なデータを資産として構築することができます。

対話型AIを搭載したIVRを導入する際の注意点

対話型AIという新しいテクノロジーの導入の際、特に規制の厳しい製薬・ライフサイエンス企業が注意すべき点はいくつかあります。

1. 一般の方、患者様、医療従事者の方皆さんが使いやすいソリューションを 構築するために、ユーザーペルソナの設計をする
2. 医療に関するデータを扱うための実践ガイドラインであるGAMP5コンピュータ化システムバリデーションの要件を満たす
3. 医療や科学の専門用語を事前に学習させ、AIモデルを最適化する


コンピュータ化システムバリデーションとは、厚生労働省コンピュータ化システム適正管理ガイドラインに基づき、品質管理を行うシステムが正しく稼働するかを検証し、文書化することであり、GAMP(Good Automated Manufacturing Practice )は国際製薬技術協会(International Society for Pharmaceutical Engineering, Inc.)が規定するコンピュータ化システムバリデーションを行う際の実践的かつ国際的なガイドラインです。GAMP5が現在最新のガイドラインとなっています。


製薬企業が安心して活用できる対話型IVRを導入する際、上記の注意点を確認しながらプロジェクトを進行する必要があります。新しいテクノロジーであるため複雑と思われるプロセスがあるかもしれませんが、ライフサイエンス業界に詳しい適切なテクノロジーパートナーと協業することで、卓越したカスタマーエクスペリエンスをお客様へご提供し、さらに企業のデータ蓄積、AIの知見の獲得など大きなメリットが手に入ります。

最後に

患者様や医療従事者のニーズが進化し、情報の取得においてもセルフサービスは必須事項となった現代において、製薬業界だからこそ対話型AIを搭載したIVRを導入することには大きな意義があります。複雑なコールセンターをよりユーザに分かりやすく、また効率化できることは、患者様や医療従事者とのエンゲージメントモデルを再定義しようとしているライフサイエンス企業にとって、ゲームチェンジャーとなると私たちは考えています。

弊社の対話型AIを搭載IVRについて詳しく知りたい、というご要望がございましたら、是非のリンクよりお問い合わせ下さい。

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?